冷淡な『酒の神』バッカスはその行い故に月の女神に戒められ、苦々しい思いがつのります。 バッカスはあてつけに「今から 最初に出会った人間を虎に襲わせよう」ともくろみます。 運悪く、そこに通りかかったのは月の女神に仕える少女アメシスト。 虎が鋭い牙を剥いて襲い掛かろうとしたその瞬間、月の女神が気づきました。 女神はアメシストを守る為、彼女を清らかで美しい水晶に変身させ窮地を救います。 バッカスは、水晶となったアメシストの姿を見て、己の心根の悪さとその悪しき行状を恥じ入りその償いとして、彼女の身体にぶどう酒を注ぎます。 すると、彼女の身体は美しい紫色の宝石に変わってゆきました。 バッカスは誓います。 「未来永劫、アメシストを所有する者には酒に酔わない力を与える」と。 アメシストの名前はこの悲劇的なギリシャ神話から生まれました。 いつしか、『人生の悪酔いを避ける』という意味合いを持ち、高潔さを求められるキリスト教世界では『司教の石』として全員がこの石の指輪をはめたと言われています。
精神的不調を緩和し、隠された能力、魅力を引き出して高度なものへと導く力があり、恋愛成就にも強い効果があります。
引用文献 『パワーストーン百科全書』 八川シズエ 著 『ギリシャ ローマ神話辞典』 高津春繁 著
アメシストに触れた瞬間 私が感じたのは孤独感に近いものでした。 おそらく、この石独特の強い波動が 心に深く静かな時を瞬時に与えた為だと思われます。 余談ですが月の女神は少女を救うためとはいえなぜ『水晶』に変えたと思われますか? 実は水晶には、優れた浄化作用があり、あらゆる邪気をはね返す力があります。 女神は、少女を救うと同時にバッカスに正気を取り戻させたかった為ではないでしょうか。 バッカスの持つ怒りや嫉みなどのマイナスエネルギ−は水晶の力を借りて全く消し去られます。 素の状態となった彼は、犯した過ちを心から悔いるという段階に入ります。 そして、ぶどう酒がアメシストを紫色に染めたとき、プライド高く傲慢だった男は、はじめて己と向き合うのです。『孤独』という世界のなかで。 幸いなことにバッカスの心には変化が生じます。 愛と慈しみの心が芽生えたのです。 彼は行状を改め、誓いの言葉を叫びました。 自分への戒めもこめて。 ある種の心の変化には、『孤独』というエッセンスも確かに必要そうですね。 アメシストの持つ深い静けさの中で、自分自身と向き合うなら、あなたの心の中に きっと確かな平安が訪れ、探していた答えが自ずとみつかるでしょう。 それは、神バッカスからの賜物かもしれません。 お酒と人生の悪酔いはしばらく辛いものです。 お気をつけて。